視界が暗くなる症状について

明るいはずの場所で暗く感じる症状は、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、網膜剥離、硝子体出血(眼底出血)など、深刻な視力低下や失明につながる疾患によって起こっている可能性があります。急激に進行するケースもありますので、こうした症状に気付いたらできるだけ早く当院までご相談ください。
視界が暗くなるときに確認したいポイント
「視界が暗い」と感じる症状には、視界全体が薄暗くなる、中心だけ暗く見える、片目が突然真っ暗になる、暗い場所で極端に見えにくいなど、さまざまな現れ方があります。
原因を考えるうえでは、片目か両目か、突然起こったか徐々に進んだか、視野全体か一部分かといった違いが重要です。
| 症状・見え方 | 考えられる主な原因 |
|---|---|
| 片目が突然暗くなった・真っ暗になった | 網膜中心動脈閉塞症、一過性黒内障、網膜剥離、硝子体出血など |
| 視界の中心だけ暗い・見えにくい | 加齢黄斑変性、黄斑疾患、視神経炎など |
| 黒い影やカーテンのようなものが広がってきた | 網膜剥離など |
| 黒い点や煙、雲のようなものが広がる | 硝子体出血など |
| 色が薄く、全体的に暗く感じる | 視神経炎など |
| 暗い場所で以前より極端に見えにくい | 網膜色素変性、網膜疾患など |
| 糖尿病があり、急に暗く・かすんで見える | 糖尿病網膜症、硝子体出血など |
| 立ち上がったときなどに両目の前が一時的に暗くなる | 血圧の変化など全身的な原因の可能性 |
同じ「暗く見える」という症状でも緊急性は大きく異なります。特に、片目が突然真っ暗になる、視野に黒い影が広がるといった場合は、速やかな受診が必要です。
このような視界の暗さは早急に医療機関を受診してください
次のような症状がある場合は、疲れや一時的な体調不良と自己判断せず、早めに医療機関を受診してください。
- 片目が突然真っ暗になった
- 急に視力が低下した
- 数分~数十分だけ片目が暗くなり、その後元に戻った
- 視界の端から黒い影やカーテンのようなものが広がってきた
- 飛蚊症が突然増えた
- 稲妻のような光が見える
- 視野の一部が突然見えなくなった
- 目を動かすと痛く、見え方も暗くなった
- 色が急に薄く見えるようになった
- 激しい頭痛、めまい、ふらつきを伴う
- ろれつが回らない
- 顔や手足にしびれや麻痺がある
特に、網膜中心動脈閉塞症では、痛みを伴わず片目が突然真っ暗になったように感じ、著しい視力低下を起こすことがあります。短時間で網膜の細胞が障害されるため、緊急の対応が必要です。
また、短時間で見え方が元に戻る「一過性黒内障」であっても、脳梗塞などの血管疾患と関連している可能性があるため、症状が治ったことを理由に放置しないでください。
視界が暗くなったときのセルフチェック
症状に気付いたら、まず安全な場所で片目ずつ見え方を確認してください。
- 右目を隠して左目だけで見る
- 左目を隠して右目だけで見る
- 片目だけ暗く感じるか確認する
- 視界全体が暗いか、一部分だけ暗いか確認する
- 中心だけ暗くなっていないか確認する
- 黒い影やカーテンが広がっていないか確認する
- 飛蚊症が急に増えていないか確認する
- 光が走って見えないか確認する
- 赤や緑などの色が左右で違って見えないか確認する
- 目を動かしたときに痛みがないか確認する
- 暗い場所だけ極端に見えにくくないか確認する
- 頭痛、めまい、しびれなどを伴っていないか確認する
片目だけの異常は、両目で見ているともう片方の目が補ってしまい、気付きにくいことがあります。
このセルフチェックは診断のためのものではありません。突然の変化や視力低下がある場合は、確認を続けず速やかに受診してください。
視界が暗くなる原因
加齢黄斑変性
黄斑は見る機能において重要な役割を果たしている部分で、黄斑に障害を起こすと文字が識別できないなど大幅な視力低下や失明につながる可能性があります。加齢黄斑変性は、加齢によって黄斑の萎縮や滲出によるむくみを生じる病気です。中途失明の原因として欧米では長く一位を占めており、日本でも増加傾向にあります。
視野の中心が暗くなる、色の区別がしにくくなる、物が歪んで見えるなどの症状を起こし、放置していると失明に至ることもあります。
加齢黄斑変性の治療
萎縮型は進行が遅く経過観察が中心になりますが、滲出型の場合にはもろい新生血管の増殖を抑えることで進行を止める・ゆるやかにできる可能性があります。現在は、硝子体注射が可能になっています。
糖尿病網膜症

糖尿病で血糖値が高い状態が続くと全身の血管にダメージが蓄積して深刻な合併症を起こすことがあります。糖尿病網膜症は、糖尿病の三大合併症のひとつで、進行すると失明する可能性もあります。糖尿病網膜症では、高血糖によって網膜の毛細血管が狭窄や閉塞を起こして血流が不足し、それを補うためにもろい新生血管が増殖して血液や血液成分が漏れ、網膜の損傷や歪みを起こし、網膜剥離を発症するリスクが高くなります。進行するまで自覚症状が乏しく、ある程度進行すると飛蚊症や視力低下などの症状を生じ、網膜剥離などを起こして失明に至る可能性もあります。また、糖尿病網膜症が早期の状態でも黄斑の浮腫を起こして深刻な視力障害につながることもあります。糖尿病と診断されたら定期的に眼科を受診することが重要です。
糖尿病網膜症の治療
血糖値のコントロールが基本です。新生血管ができている場合には硝子体注射やレーザー光凝固術を行い、状態によって硝子体手術が必要になります。
網膜静脈閉塞症

動脈硬化によって網膜の静脈が圧迫されて血流が悪化し、血栓ができて静脈の閉塞を起こしている状態です。静脈の閉塞によって眼底出血や網膜のむくみが生じます。出血やむくみを起こしている場所により症状が大きく異なりますが、出血による視野の欠け、視力の急激な低下なども起こします。
網膜静脈閉塞症の治療
硝子体注射によって出血やむくみを抑え、病変が周辺部にある場合にはレーザー光凝固術でダメージを受けた部分を焼いて病変の拡大を防ぐこともあります。
網膜剥離
網膜がはがれてしまっている状態で、先に孔ができて水分が侵入して剥離を起こすことが多くなっています。孔ができた時点で飛蚊症や存在しない閃光が見えるなどの症状に気付き、眼科を受診することで剥離を起こさずに治療できる場合もあります。また、加齢による硝子体の萎縮が原因になり、網膜が引っ張られて剥離する牽引性の網膜剥離、外傷などによる網膜剥離などもあります。
早急な復位によって視力低下や視野欠損を最小限に抑えられることもありますが、重度の視覚障害や失明に至る可能性もあります。疑わしい場合にはできるだけ早く眼科を受診してください。
網膜剥離の治療
裂孔があり剥離を起こしていない場合には、裂孔周囲の凝固によって剥離への進行予防が期待できます。また、牽引による剥離が懸念される場合には、硝子体が網膜を引っ張る力を弱める手術を行います。
剥離を起こしている場合には硝子体手術で剥離した網膜の復位を行います。ただし、できるだけ早く手術しなければ視力回復は難しく、剥離した場所により視力低下が困難なケースもあります。
硝子体出血(眼底出血)
網膜で出血が起こるのは眼底出血であり、それによって出血した血液が硝子体に入ってしまった状態が硝子体出血です。眼球内にある硝子体は透明な組織で、血液が入ると飛蚊症、視界が暗くなる、物が歪んで見える、視野が欠けるといった症状を起こします。
硝子体出血の治療
硝子体注射、レーザー光凝固術、硝子体手術などの治療を行い、原因疾患の治療も必要になることがあります。
網膜中心動脈閉塞症
網膜中心動脈閉塞症は、網膜へ酸素や栄養を送っている網膜中心動脈が詰まり、網膜への血流が途絶える疾患です。
多くの場合、痛みを伴わずに片目の視力が突然大きく低下し、「急に片目が暗くなった」「真っ暗になった」と感じることがあります。
発症から短時間で網膜の細胞が障害されるため、緊急の対応が必要な眼科救急疾患です。
原因には動脈硬化、高血圧、糖尿病、脂質異常症のほか、心房細動などの心疾患や頸動脈の動脈硬化が関係することがあります。
眼科で目の状態を確認するとともに、必要に応じて脳神経内科や循環器内科などと連携し、全身の血管や心臓の状態を調べます。
一時的に片目が暗くなる一過性黒内障
片目の視界が突然暗くなったり、カーテンを下ろされたように見えなくなったりした後、数分~数十分程度で元に戻ることがあります。このような症状は「一過性黒内障」と呼ばれます。
網膜への血流が一時的に低下することで生じることがあり、頸動脈の動脈硬化などが関係している場合があります。
症状が治まったからといって問題が解決したとは限りません。脳梗塞などの血管疾患につながる可能性もあるため、初めて症状が現れた場合は速やかに医療機関を受診してください。
視神経炎・虚血性視神経症
視神経は、網膜で受け取った視覚情報を脳へ伝える神経です。視神経に炎症や血流障害が起こると、見え方が暗く感じられる場合があります。
視神経炎
視神経炎では、片目または両目の視力が比較的急に低下し、見ようとする中心部分が暗く見えることがあります。
特徴の一つとして、色の見え方が変化することがあります。例えば赤色が反対の目よりくすんで見えるなど、色の鮮やかさに左右差を感じることがあります。
また、眼球を動かしたときに目の奥が痛むこともあります。
視力検査、視野検査、眼底検査などを行い、必要に応じてMRI検査や血液検査などで詳しく原因を調べます。
虚血性視神経症
虚血性視神経症は、視神経へ血液を送る血管の循環障害によって視神経が傷害される疾患です。
中高年以降に多く、片目の視力低下や視野欠損が突然現れることがあります。視野の上半分や下半分が暗く見える場合もあります。
高血圧、糖尿病、脂質異常症、心疾患などが関係する場合があるため、眼科での診察とあわせて全身状態の管理も重要です。
暗い場所で見えにくい場合
明るい場所では比較的見えるものの、夜間、トンネル、映画館など暗い環境になると極端に見えにくくなる状態は「夜盲」と呼ばれます。
代表的な原因の一つが網膜色素変性です。
網膜には、明るい場所で色や細かい形を見る錐体細胞と、暗い場所や周辺視野を担当する杆体細胞があります。網膜色素変性では、杆体細胞から障害されることが多いため、初期に夜盲が現れ、その後、徐々に周辺視野が狭くなる場合があります。
また、糖尿病網膜症など網膜の血流が低下する疾患でも、暗い場所で見えにくさを感じる場合があります。
以前より夜道を歩きにくくなった、暗い室内で物を見つけにくくなったという場合は眼科でご相談ください。
視界が暗くなる場合はどのような検査を行いますか?
視界が暗く感じられる原因には、黄斑、網膜、硝子体、視神経などさまざまな部位の異常があります。
眼科では、症状が始まった時期、片目か両目か、突然か徐々にか、視野全体か一部分かなどを確認し、必要に応じて次のような検査を行います。
- 視力検査
- 眼圧検査
- 瞳孔反応の確認
- 色の見え方の確認
- 細隙灯顕微鏡検査
- 散瞳眼底検査
- 視野検査
- OCT検査
- 眼底写真
- 必要に応じてOCTアンギオグラフィー
- 必要に応じて蛍光眼底造影検査
- 必要に応じてMRI・CTなどの画像検査
急な視力低下や一過性黒内障では、目の検査だけでなく、頸動脈や心臓、脳の血管など全身の検査が必要になる場合があります。
視界が暗くなったときの対処法
視界が急に暗くなった場合、自宅で原因を判断したり治したりすることはできません。
まず安全な場所で片目ずつ見え方を確認し、症状が始まった時刻を覚えておきましょう。
- 見えにくい状態で車や自転車を運転しない
- 症状が始まった時刻を記録する
- 片目ずつ見え方を確認する
- 視野に黒い影がないか確認する
- 飛蚊症や光視症の有無を確認する
- 症状が一度治っても突然起こった場合は放置しない
- 市販の目薬だけで様子を見続けない
- 頭痛や麻痺などを伴う場合は救急受診を検討する
「疲れているから」「立ちくらみだろう」と自己判断せず、特に片目だけの症状や突然の視力変化については早めに医療機関を受診してください。
視界が暗くなる目の病気に関する
よくある質問Q&A
片目だけ突然暗く見えるのは危険ですか?
網膜中心動脈閉塞症、網膜剥離、硝子体出血など、早急な対応が必要な疾患で起こることがあります。特に突然片目が真っ暗になった場合は、症状が改善するか様子を見ず速やかに医療機関を受診してください。
片目が数分だけ暗くなり、その後元に戻りました。大丈夫ですか?
一時的に網膜への血流が低下する一過性黒内障の可能性があります。数分~数十分で見え方が戻る場合がありますが、脳梗塞などの血管疾患と関連していることがあります。元に戻っても受診が必要です。
視界の中心だけ暗く見えるのはなぜですか?
加齢黄斑変性など黄斑の疾患や、視神経炎などで中心部分が暗く見えることがあります。物がゆがむ、文字が読みにくい、色が薄く見えるなどの症状を伴う場合は眼科を受診してください。
暗く見えるうえに、色も薄く感じるのはなぜですか?
視神経炎などの視神経疾患では、視力低下だけでなく、色の鮮やかさが低下することがあります。片目ずつ赤色などを見比べたときに明らかな左右差がある場合や、眼球を動かしたときに痛みがある場合は眼科でご相談ください。
夜だけ極端に見えにくくなるのは老化ですか?
加齢による見え方の変化だけでなく、夜盲を起こす網膜色素変性などの網膜疾患が関係している場合があります。以前より夜道を歩きにくくなった、暗い場所への順応に時間がかかるようになった場合は眼科を受診してください。
疲れると視界が暗くなることはありますか?
疲労や体調の変化によって一時的に見え方に違和感を覚えることはありますが、持続する視界の暗さや片目だけの症状を疲れだけが原因と判断することはできません。繰り返す場合や、視力低下、視野欠損などを伴う場合は眼科で原因を確認してください。
めまいや立ちくらみと一緒に目の前が暗くなる場合は眼科を受診すべきですか?
立ち上がった際などに両目の前が一時的に暗くなり、めまいやふらつきを伴う場合は、血圧など全身的な原因が関係している可能性があります。一方、片目だけ暗くなる場合や見え方が戻らない場合は眼疾患や血管疾患も考えられます。症状を繰り返す場合は医療機関へご相談ください。
黒い影が視界の端から広がってきました。何が考えられますか?
網膜剥離では、視野の端から黒い影やカーテンが広がるように見えることがあります。飛蚊症が急に増えた、稲妻のような光が見えるといった症状を伴う場合は、特に注意が必要です。早急に眼科を受診してください。
糖尿病があります。急に視界が暗くなったらどうすればよいですか?
糖尿病網膜症が進行すると硝子体出血などを起こし、突然視界が暗くなったり、大量の黒い影が見えたりすることがあります。糖尿病がある方に急な見え方の変化が現れた場合は、早めに眼科を受診してください。
視界が暗くなる症状でお困りの方へ
視界が暗く感じられる症状は、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、網膜剥離、硝子体出血などの網膜・硝子体疾患だけでなく、網膜中心動脈閉塞症や視神経疾患などでも起こります。
特に、
- 片目が突然真っ暗になった
- 視界に黒い影やカーテンが広がった
- 急に視力が低下した
- 飛蚊症や光視症が急に増えた
- 色まで暗く、薄く感じる
- 頭痛や手足の麻痺、言葉の障害を伴う
といった場合は、早急な受診が必要です。
また、一度見え方が元に戻った場合でも、一過性黒内障など血流障害が隠れていることがあります。
「疲れや立ちくらみだろう」と自己判断せず、これまでと違う見え方に気付いた場合は、早めに医療機関へご相談ください。
